マジック/カード/パーム

マジック/カード/パーム

相手にわからないようにカードを手に保持する技法

クラシックパーム

手のひら側にカードを凹湾曲させて保持して横や手の甲側からカードを隠す。基本中の基本。

手の横幅が狭いとポーカーサイズのトランプでははみ出てしまうのでどうにかする必要がある。

基本は、小指の腹と親指の付け根あたりの手のひらでカードの角々の対角線で保持する。

バックパーム

手の甲側にカードを指で挟み込んで保持して手のひら側からカードを隠す。全然パームじゃないのだが、手に隠すという意味でパームと呼ばれる。

1枚のカードをバックパームに移行する

  • 親指と中指でカードを指先方向に長辺が倣うようにつまむ
  • 人差し指と小指でそのカード長辺を両脇から挟む。若干カード表面が膨らむように湾曲させる。
  • カードの裏に隠れた中指と薬指を折り曲げて第一関節でカードの裏を押し出す準備をする。手の形としてはスタン・ハンセンのロングホーンのようになる。
  • 折り曲げた中指と薬指を伸ばす。と同時に人差し指と小指で支えられた部分を軸にカードを回転させて、カードを手の甲側に回り込ませる。
  • 人差し指と小指を隣の指に密着させて指の隙間からカードが見えるのを防ぐ

ポイント

  • カードを隠したいので、指をピンと伸ばしたくなる気持ちになるが、不自然なので脱力してちょっと曲げ気味のほうがよい。
  • 指を開く方向と同じ方向に腕を動かすと回り込む瞬間の動作がカモフラージュされる
    • カードを投げ上げるように腕を上に振り上げる
    • なんでやねん的なツッコミ動作
  • カードの色にもよるが、動きの中でやれば指が少々開いて隙間からカードが覗いていても、指先から保持しているカードの角が飛び出ていても相手には見えてない

慣れてくるとかなりの速度でカードを手の甲側へ回り込ませられる

出現させるには、 隠したのと逆操作すると横方向で出現する。人差し指支点を親指に置き換えると、縦方向で出現する。

非常に高度に指を操作すると2枚以上の操作も可能になる。「ミリオンカード」と呼ばれるマジックになる。 5枚6枚となってくるとどう考えても折り曲げて指で保持することはできないので、透けるように薄いミリオンカード用カードを使うことになる。

2枚目以降のバックパームは、1枚がバックパームされた状態で、2枚目を逆の手で用意し、 バックパームしている手にカードを近づけていって、手を2枚目のカードで隠くす。 そこでバックパームを解除してちょうど2枚目のカードに解除した1枚目が重なるようにして、重なった2枚を同時にバックパームする。

さらに高度にカードを操作して、この動作を片手でやる。

カードへの攻撃性が高いので、この技法をやるとカードにかなり強い曲がりクセがつく

フロントパーム

バックパームとセットに使うためのパーム。バックパームから移行して手のひら側にカードを隠す

バックパームから移行

  • バックパーム状態から中指薬指でカードの人差し指小指支点から遠い方を押してバックパームを解除する
  • 親指と中指でカードを保持し人差し指小指を緩める
  • 中指を折り曲げてカードを手首側に手繰り寄せる(親指をメインに行う手法もあるようだ)
  • 手繰り寄せると当時に薬指の第一関節もしくは指先の肉をカード上辺に引っ掛ける。動作としては引っ掛けるだが、感覚としては勢いでガバーっとカード全体を鷲掴みするような感じ。
  • 引っ掛けた薬指を手がかりに中指もひっかける。慣れてくると両方の指で手繰り寄せて、両方の指を一気に引っ掛けられる。感覚としては手繰り寄せのために曲げた指をデコピンの要領で保持を離した瞬間に伸ばして指先保持という感じ。
  • その状態でカードをさらに手首側に引き込みつつ人差し指小指で、カード上辺コーナーを両側から挟む
  • この際カードは手のひら凸方向に湾曲する(手のひらに沿わない)

バックパームへ移行はもう人差し指と小指で挟んでいる状態なので、カード下辺を親指の付け根あたりにあてつつ、全部の指を折り込んで、支点をカード下に移動させてから指を開けばよい。

フロントパームはバックパームをした場合に手の甲側を相手に見せるためにやるのだが、どのタイミングで移行すればよいのか

この移行を隠すには手のひら、指の背の両方が見えてない角度が必要になる。 それは手のひらを下方向に伏せて指先を相手から見て奥側に向けた瞬間となる。

もしくは、手を奥に持っていって肩や胴体に隠れた所で行う

  • 指先水平で手のひらが相手に向いているバックパーム状態
  • バックパームを解除しつつ手のひらを下向き水平に、指を奥側へ向ける。この際に手首だけでなく腕全体を相手から離れるように奥に伸ばす。
  • バックパームは解除されているので指の背側からカードは見えず、手のひら側に回ったカードは親指の付け根の肉、もしくは手首に隠れて相手から見えない。
  • その状態でフロントパームへ移行
  • 親指下方向手の甲を相手方向に向ける。この際に腕全体で飛行機のマネで滑空するように手の甲を向ける。

表も裏も無いのに、カードは出現するので不思議には思われるのだが、指の形や手の動きが非常に不自然で、なんか隠してますよ感がスゴイ。 さらにこれを素早くカードが見えないように連続で操作するのは難しくマジックというよりも大道芸に近い。

タイミングの練習として

  • カードの中ほどを人差し指小指で挟み込む
  • 挟んだ位置を動かさないようにして、中指薬指でカードの上下を押してカードをフロント、バック、フロント、バックとシーソーのように動かす
    • 当然カードの中ほどを軸にシーソーしているので、フロントに回ってもバックに回っても指先からカードが飛び出て見えてしまっている
    • それでよい
  • その状態で↑の手の動きを組み合わせて移行中のカードが見えないようなタイミングと角度を体得する
  • このフォームとリズムを維持した状態で、回転軸をズラしたシーソー動作を行う

いかんともしがたいこの不自然動作をなんとか自然にしたい考察

  • 完全に手の甲を相手に向けなくてもよい
  • 指先を横方向に向けなくてもよい
  • 逆の手もムチャクチャに動かしてそういうフリをする
  • フロントパームからやる
  • 見えている状態からやる
    • 普通にパームしないで表と裏をあらためる
    • あらためる時にあの不自然な動きであらためる。そうすることで次のあらため動作も同じ流れであるという印象づけができる
    • 見えてる状態から、変なフォームでバックパーム移行して素早くフロントパームで戻して、バックパームに行って、出現

テンカイパーム

手のひらの中心の窪みと親指の第一関節もしくはも少ししたの肉でカードの上短辺角を保持するパーム。 下端が手からモロに飛び出ているのだが、手の甲側から見ると相手からは手首や腕に隠れて見えない。

カードの大半は手に密着ぜず空中に浮いている状態になるので角度に弱い。 しかし指先を使わないのでパームしている指が自然になる。

カードの指で摘んで投げるフリをして、投げる直前の引きの動作時にテンカイパームして指だけ投げる動作をすると、 相手の視線は投げた方向に向いているのだがカードは実は手の中という現象になる。

トップパーム

デックを掴んでいる時に、わからないようにトップカードをクラシックパームで上からカバーしている手に移す。

  • カードを揃えるフリをしながら、カバーしている手の小指をデックの角に当てておく
  • デックを下から掴んでいる手の親指でカバー側にトップカードを押し出す
  • カバーの小指を支点にトップカードが回転しながらカバーの手の死角に移動する
  • 支点の小指をデックにかぶせ気味に移動させると、デックの角を支点にして1枚目のカードだけ手のひら側に浮き上がる
  • 回転していることでデックの手前側からトップカードだけ飛び出ているので、そこを親指の付け根で引っ掛けて小指と合わせてクラシックパームで取り去る
  • この際にデックを持っている手の中指で下から押し込んでやってもよい。デックの角でトップを手のひらに押し込んでもいいだろう。
  • 取り去る際に取り去る動作に必然性が無いので怪しい。パームした手を動かすのではなく、デック側の手を動かして相手の気をそちらに逸してからパーム側を処理する

パームのカードをトップ戻す

トップパームしたカードをトップに戻す方法。

デックに対してあからさまに手のひらを重ねて戻すと不自然。

パームしている手でデックをカバーしながら、デックを保持している側の中指薬指あたりでパームしているカードを引き込むと自然。 パームしている手で置きにいくのではなくデックの手で引き込む感覚

ワンハンドトップパーム

トップパームを親指の補助無しに片手でやる。 うまくやると何気ない瞬間の動作中にパームできるので非常に流れが自然に見える。さらにパームするスピードも速い(凝視していてもパームしたことがわからないぐらい)のでカラーチェンジのような効果も期待できる。

右手でやるとして、デックを上からガバっと縦に掴む、その際に親指人差し指小指がデックの角に来るようにする。特に親指の位置が重要で、角に近いところにないと引っかかってやりにくい。

その状態からトップカードを小指で上方向に引き釣り出す。さらに引き出し、デックから飛び出た角をデックの角に押し付ける。 そうするとカードがしなってクラシックパームの位置に来るので、小指で引っ掛けて、親指の側の手のひらと対角線で保持する。

ラテラルパーム

カードの短辺の一方の角を小指と薬指の間、もう一方の角を中指先の腹で挟んで保持する。 特徴としてはテンカイパームと似ているが、より手の中には入っている。

指の形がデックをカバーする形に近いのでトップやボトムカードを流れのなかでスチールするような用途で使われる

magic/card/palm.txt · 最終更新: 2020-12-15 13:05 by ore