映画/ブラック・クランズマン

映画/ブラック・クランズマン

BlacKkKlansman 2020-02-27 Amazon Prime で鑑賞。

実話を元にした映画。

  • 田舎の警察署にに意識高い黒人ロンが初めての黒人警官として就職
  • 何か成果を出そうとしているうちに白人至上主義団体 KKK の内部事情を探ることに
  • KKKの内部に入り込むため電話で話を進めるが、実際に会うとなると当然黒人ではダメなので同僚のユダヤ人白人刑事フリップ(アダム・ドライバー)に代役を頼む
  • フリップやロンの調査で KKK の異常な思想が明らかになっていく
  • KKK の中でも完全に狂っているのがフェリックス夫妻で黒人を殺すのが長年の夢と語り合ったりする狂人
  • この KKK にはあまり我を出さず団体内外でも良識のありそうなウォルターみたいな人が居るのは怖い
  • ロンは巧みな話術で KKK の最高幹部 デービッド・デューク 議員とのコネクションを取り、信用を勝ち取る
  • ロン(フリップ)の KKK への正式な入会儀式のためにデュークが町に来ることに
  • KKK は団体としてはデューク歓迎会ムードではあるが、その裏でフェリックスは同時期に開催される黒人の集会を爆破する計画を独自に立てる
  • 署長はロン本人にデュークの警護を命じる
  • KKK のメンバーの一人がフリップが刑事だということに気づく
  • それをフェリックスにチクるがフェリックスは爆殺計画のほうが重要で会話に探りを入れる程度で公にはしなかった
  • ロンは爆弾入手の情報を得ており近いうちに KKK が何かやることに感づく
  • フェリックス嫁が会場で不審な動きをしたことからロンは爆破計画が実行されると確信
  • 警察は黒人集会の警護に入る
  • フェリックスは黒人集会爆破を諦め、計画をロンの恋人でもある黒人学生運動家パトリスを爆殺することに変更
  • フェリックス嫁は計画として郵便受けに爆弾を入れて玄関で爆殺する予定
  • 郵便受けが小さく爆弾が入らない(アホ)
  • パトリスの車に爆弾を仕掛けることに変更
  • ロンが現場に駆けつけるが黒人潜入捜査官が白人フェリックス嫁を押さえつけているということで逆に警官に取り押さえられる
  • 騒ぎになり家の外に出てくるパトリス
  • そこへフリップの正体を知っているフェリックス団が車で到着、パトリスの車の横に停車する
  • 郵便受けに仕掛けられていると思っているフェリックスは遠隔で爆破
  • パトリスの車もろともフェリックス団が爆死
  • ロンは爆弾テロを事前に察知して市民を守ったということで手柄をあげた
  • しかし、この捜査に対して政治的に圧力がかかりチームは解散、成果も破棄することになる
  • 最後の腹いせにまだロンを信用しているデュークと電話し、全部計画をバラす、「お前が白人の中の白人と言ってたやつは黒人なんだぜ、このマヌケ」と
  • これからパトリスとどうするか話し合うロン、そこで物音
  • 外には燃える十字架が立っていた
  • 最後に現実の映像で今アメリカで何が起きているのかを示す

アダム・ドライバー はこういう、どこにでも居る、単にそこに居合わせただけ、ちょっと図体がデカイ、みたいな役が似合うなと思った。カイロ・レンみたいな選ばれた特別な人ではなく、選ばれないなんでも無い人こそいい味が出ている。

意図的にそうしてるのだと思うがこの映画では黒人たちが非常に洗練されていて、文化的で、中でも連呼されていたが「パワフル」で「クール」に描かれている。逆にこんな連中ホントに居るのかよとなじっていると思うぐらいに。逆に KKK はいかにも田舎臭く、野蛮で、クールではなく描かれている。 そしてその双方が逆に仲がいいのじゃないかと思えるぐらい非常にカジュアルに汚い言葉で罵倒し合っている。 このへんはブラックスプロイテーション映画の定番の表現様式オマージュらしい。

映画では、対立する軸としては出てこないが、ユダヤ人も黒人と同じぐらいの分量で毛嫌いされていることが強調されている。

片田舎でおこった小さい小競り合いから、こういうこと過去にもあったし今も残っているよ、 こんなことどこでもあるんだよという、日常感の若干ほのぼのした中に描いていることがこの映画のいいところだったのじゃないかな。KKKのバリバリの会合を開いている場所で普通に黒人が働いていたりとかして微妙な雰囲気を共有したりしているのも日常感がある。

最後のロンがデュークへのバラしをやったことで無駄に身の危険を晒す行為はやる必要がなかった。 黒人外見のロンは刑事として刑事だし、フリップもその正体を知った連中は爆死したのだから。 ほのぼの日常の中の差別団体の隣合わせ異常感は十分出せた、そして最後に爆死でスカッと爽やかもあっていい感じのテンションで終わってたのに、バラし→十字架燃やしに加えて実際のレイシストの暴動映像が加わることで、重さとかテンション、方向性が一気に別の方向に向かってしまって映画として残念だった。 こういう直接的な映像の重さで何か語るならこのカジュアルなコメディ的前置き要らんだろと思った。

どう見ても小規模な町で潜入捜査なんか成立するのか?ってこと。 捜査官のその後の生活を考えたとしてもこのへんは現実味が無い。 始まりも KKK が新聞に勧誘広告を出していて、そこに潜入捜査をしようとカジュアルに電話を掛けるところから始まる。 その時点では別に KKK は飲み屋で管巻いているぐらいで単なる仲良しグループで何もしていない。 そんな団体に潜入捜査なんかするか普通。

そして、そのゴールもよくわからない。話では最終的に KKK メンバーが爆弾テロをやったことによってゴールしたわけだが、それが無かったらロンたちは何をしようとしてたのか? フリップが嘘発見器にかけられそうになりロンがガラスを割ることで危機を脱し、フリップも疑念を晴らそうと、拳銃を撃ちまくるシーン。最後の爆弾テロが無かったら法律的に問題なことをやってるのは警察側であって、KKK は思想は邪悪だが行動は認められた範囲でやっている。ほんと何をしようとしているのか?

監督が思うがままを場当たり的にぶち込んだという感じ(それがいいバランスになっている部分もある)でちょっとそこがチグハグというかバラバラにも感じる。

同じ黒人差別モノでの 映画 / ジャンゴ 繋がれざる者 全部が精妙に組み立てられているようなのと反対で、なんだか一貫性がなくカラーが読めない。雑。アカデミー賞を取るような完成度ではない。

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contents/movie/blackkklansman.txt · 最終更新: 2020-03-09 10:57 by ore