映画/ブラック・クランズマン

BlacKkKlansman 2020-02-27 Amazon Prime で鑑賞。

実話を元にした映画。

アダム・ドライバー はこういう、どこにでも居る、単にそこに居合わせただけ、ちょっと図体がデカイ、みたいな役が似合うなと思った。カイロ・レンみたいな選ばれた特別な人ではなく、選ばれないなんでも無い人こそいい味が出ている。

意図的にそうしてるのだと思うがこの映画では黒人たちが非常に洗練されていて、文化的で、中でも連呼されていたが「パワフル」で「クール」に描かれている。逆にこんな連中ホントに居るのかよとなじっていると思うぐらいに。逆に KKK はいかにも田舎臭く、野蛮で、クールではなく描かれている。 そしてその双方が逆に仲がいいのじゃないかと思えるぐらい非常にカジュアルに汚い言葉で罵倒し合っている。 このへんはブラックスプロイテーション映画の定番の表現様式オマージュらしい。

映画では、対立する軸としては出てこないが、ユダヤ人も黒人と同じぐらいの分量で毛嫌いされていることが強調されている。

片田舎でおこった小さい小競り合いから、こういうこと過去にもあったし今も残っているよ、 こんなことどこでもあるんだよという、日常感の若干ほのぼのした中に描いていることがこの映画のいいところだったのじゃないかな。KKKのバリバリの会合を開いている場所で普通に黒人が働いていたりとかして微妙な雰囲気を共有したりしているのも日常感がある。

最後のロンがデュークへのバラしをやったことで無駄に身の危険を晒す行為はやる必要がなかった。 黒人外見のロンは刑事として刑事だし、フリップもその正体を知った連中は爆死したのだから。 ほのぼの日常の中の差別団体の隣合わせ異常感は十分出せた、そして最後に爆死でスカッと爽やかもあっていい感じのテンションで終わってたのに、バラし→十字架燃やしに加えて実際のレイシストの暴動映像が加わることで、重さとかテンション、方向性が一気に別の方向に向かってしまって映画として残念だった。 こういう直接的な映像の重さで何か語るならこのカジュアルなコメディ的前置き要らんだろと思った。

どう見ても小規模な町で潜入捜査なんか成立するのか?ってこと。 捜査官のその後の生活を考えたとしてもこのへんは現実味が無い。 始まりも KKK が新聞に勧誘広告を出していて、そこに潜入捜査をしようとカジュアルに電話を掛けるところから始まる。 その時点では別に KKK は飲み屋で管巻いているぐらいで単なる仲良しグループで何もしていない。 そんな団体に潜入捜査なんかするか普通。

そして、そのゴールもよくわからない。話では最終的に KKK メンバーが爆弾テロをやったことによってゴールしたわけだが、それが無かったらロンたちは何をしようとしてたのか? フリップが嘘発見器にかけられそうになりロンがガラスを割ることで危機を脱し、フリップも疑念を晴らそうと、拳銃を撃ちまくるシーン。最後の爆弾テロが無かったら法律的に問題なことをやってるのは警察側であって、KKK は思想は邪悪だが行動は認められた範囲でやっている。ほんと何をしようとしているのか?

監督が思うがままを場当たり的にぶち込んだという感じ(それがいいバランスになっている部分もある)でちょっとそこがチグハグというかバラバラにも感じる。

同じ黒人差別モノでの 映画 / ジャンゴ 繋がれざる者 全部が精妙に組み立てられているようなのと反対で、なんだか一貫性がなくカラーが読めない。雑。アカデミー賞を取るような完成度ではない。

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